それは晴れた
昼下がりの
ありふれた出来事
図工の授業で
風景画を描いていた
ときの出来事
この色キャンディ
みたいだねと
誰かが笑った
ほんとだ
絵の具じゃない
みたいだねと
別の誰かも笑った
その筆は僕の
口元に差し出され
ほら舐めてみろよと
女は笑った
抗うよりも
応じる方が
痛くされないと
僕は知ってた
僕は知ってた
強かな人に
なろうと誓った
誰にも期待など
しなかった
あの人たちが
正しいなら
僕は
世界でも敵に回そう
愛はどんな
味でしょうか
友情はどんな
形でしょうか
毎日のように
差し出された
キャンディの味を僕は
忘れない
それは雨が
降り出した
夕暮れ時の出来事
下校中
大切にしていた傘を
開いたときの出来事
雨の日も
楽しめるようにと
母が買ってくれた
大好きな
キャラクターが大きく
プリントされた傘
木の枝で叩かれて
いくつも穴があいてた
この方が
お前によく似合うと
笑われた
それ以上
傷つけられるのを
見ていたくなくて
僕も笑った
僕も笑った
憎しみの色に
染まらないように
馬鹿な大人に
ならないように
あの人たちが
何をしても
やり返すことだけは
しなかった
川辺の土に傘は埋めた
落として流された
ことにした
毎日のように
空想の出来事を
家族に話しては
笑ってた
それでも世界は
回り続けてた
どんなことも
昨日になった
涙もあの痛みさえも
怖いほど
忘れられると知った
強かに
生きていこうと誓った
これは繰り返さぬ
ための歌
追いつめ
奪うのが正義なら
僕は
世界でも敵に回そう
愛はどんな
味でしょうか
友情はどんな
形でしょうか
毎日のように
差し出された
キャンディの味を僕は
忘れない