ある田舎の駅の近く
二つの店が
並んでました
履物屋さんと
傘屋さんの
おばあちゃんは
仲良しでした
それぞれの
連れ合いに
先立たれて
子どもたちも
自立しました
おばあちゃんたちに
残されたのは
客の少ない
この店だけ
それでも二人は
しあわせでした
話し相手が
そばにいたから
履物屋さんの
おばあちゃんが
微笑みながら
亡くなりました
傘屋さんの
おばあちゃんも
後を追うように
亡くなりました
それぞれの家族が
片付けた時
店の奥を見て
驚きました
履物屋さんの
押し入れには
傘がいっぱい
ありました
傘屋さんの
押し入れには
履物がいっぱい
ありました
お互いの店まで
行ったり来たり
そう自分たちが
客になってました
履物の数だけ
傘の数だけ
しあわせが
そこにありました
しあわせが
そこにありました